(客)いや~、今日も仕事で疲れたなぁ~、ちょっと飲んでいくか。あ、あそこにまだ行ったことのない居酒屋があるなぁ、ちょっとあそこで飲んでいくか。
(扉を開ける)ガラガラ~ドスン!ドンガラガッシャーン!
(いきなりドリフのセットみたいに四方に居酒屋の壁が崩れる)
(客)ちょっと~、なんなの、これ!
(店員)へい、おまち!明洞風イカ墨のミートスパゲッティ揚げです。
(客)いや、これ、もう、ドリフのセットみたいに崩れちゃってるけど、いいの、これ?それと何それ?まだ注文してないんだけど?ゲホゲホ・・・
(店員)いいんです。地震対策用に、直ぐに倒れるように設計してありますんで。直ぐに倒れる代わりに、直ぐに再度組み立てられるようになってますんで。今日は雨も降ってないし、大丈夫です。
(客)そうなの、まあ、いいや。じゃあ、とりあえず、ビール貰おうかな。
(店員)へい了解!ビールね!はいお待ち!(バールで客の頭を殴る)
(客)おい!痛いよ!何すんだよ!!
(店員)え?お客さん、今、バールって言いましたよね?
(客)俺はビールって言ったんだよ!もういいよ!熱燗(あつかん)くれ!
(店員)はい了解!(ゴムホースを客の口に入れて大量の液体を出す)
(客)グエッ!なんだよ、これは!!
(店員)ミツカンの味ぽんです。あっちの樽の中にまだまだ味ぽんありますんで。今、出してますんで。どんどん飲んでください。
(客)俺が行ったのは熱燗だよ!熱い日本酒だよ!
(店員)お客さん、ハッキリ言ってくれないと、聞き取れるようにハッキリ言ってくださいね。
(客)お前、耳腐ってんのか!
(店員)腐ってますけど。私、ゾンビなもので。墓から出てきて三日目です。
(客)てめえ、ふざけてんのか!もういい、帰る!
(店員)お勘定でよろしいですか?
(客)ああ、いいよ。いくらだよ!二度と来ねえぞ、こんな店!
(店員)へい、かんぴょう巻きお待ち!
(客)なんだよ、これ?
(店員)お客さん、今、かんぴょうって言いましたでしょ?これ、かんぴょう巻き。
(客)俺が言ったのは勘定だよ!お勘定!!
(店員)2億8000万円になります。
(客)郷ひろみの曲か!
(店員)それは二億四千万の瞳です。
(客)もう、ホレ!二千円置いてっから。これでいいだろ!二度と来るかボケ!
(店員)あ、お客さん、お釣りです。(客の口に釣り針を引っ掛けて釣り竿のリールを巻く)
(客)痛てえ!痛てえよ!!
(店員)お客さん、今、釣りって言いましたよね?
(客)俺は魚じゃねえよ!
(店員)あれ、お客さん、人魚じゃなかったんですか?
(客)人魚じゃねえよ、それになんだよ、人魚って?仮に俺が人魚だったとして、なんで居酒屋に来るんだよ!
(店員)う~ん、それもそうですね。じゃあ、私、帰りますんで。(スゥ~っと消える)
(客)幽霊かよ!つーか、見ちゃったよ、幽霊!祟り神かな、一応、塩まいておくか。この居酒屋、塩あるかなぁ~。(厨房に入って塩を探す)
(店員)あ、お客さん、塩は三番目の棚の中です。
(客)消えたんじゃなかったのかよ!つーか、いきなり出て来るなよ!怖えーよ!
(店員)いきなりステーキ見習ってますんで。行ったことないですけど。
終わり